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◆河童倶楽部通信 6  「秋の紅葉って、こうよ〜」
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 河童倶楽部通信愛読者のみなさま、こんにちわ。
「芸術の秋」「読書の秋」「旅行の秋」・・・
みなさまはどのような秋の休日をお過ごしのことでしょうか。

 私達は、「旅行の秋」ということで、琵琶湖方面をのんびりと散策など
してまいりました。山や林は至る所で紅葉し、太陽光線を浴びると錦色に
光り輝く風景のなかで、のんびり秋の休日を過ごしてきました。

 デジタルカメラの”撮影したものをすぐに使えて加工ができる”という
特徴を生かして、より抜きの1枚をお届けいたします。


┏■街路樹と紅葉      〔琵琶湖北端、海津大崎の桜並木〕━━┓
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 都市内に整備された道路のことを「街路」といいますが、全幅16m以上
の街路では、車道の両側に歩道があり、その間に樹木を植えたりします。
サツキやマメツゲなどの低木は、雨の日に車の水ハネから守ってくれたり
イチョウやプラタナスなどの高木では、夏には涼しい木陰ができます。
特に市街地となると、道路に人と車が溢れていて、騒音と排気ガス等が
蔓延するビルの谷間において、四季ごとに表情を変える街路樹の恩恵は、
都市の景観を考える上でも、計り知れないものではないでしょうか。

 樹木には、落葉樹と常緑樹の2種類があります。秋になると紅葉して
葉っぱが落ちるものが落葉樹ですが、道路にはこの落葉樹の方が多く植え
られています。葉っぱが排気ガスやほこりを吸い込んでくれていますので
毎年新しい衣装に衣替えすることで、その新鮮さを保っているわけです。
 春になると一斉に黄緑色の新芽が出て、若々しい葉っぱに成長します。
樹種によっては色とりどりの花が咲き、新年度の始まりを祝ってくれたり
しているかのようです。梅雨が来て、カンカン照りの夏が来て、やがて
台風がやって来る。そうした夏の雨や風や強い陽射しから、時として人や
沿道の建物さえも守ってくれています。秋風が吹き始めて、いつしか蝉
時雨が頭の中の記憶から消え去りゆく頃、一斉に秋の彩りに変わります。
風にそよいでヒラヒラと舞い落ちる葉っぱを見ながら、愛を語る若者たち
だっていたことでしょう。初雪の頃には、もう葉っぱもなく丸裸の状態。
長い冬の間、樹木も人も新しい年に向けての準備を始めるわけです...。

 こうした自然の新陳代謝が身近にあることが、一方では喜ばれないこと
もあります。土木事務所の維持管理課は道路の苦情の窓口でもあります。
「街路樹があるとお店の看板が見えないから、切り倒してくれ。」
「ギンナンは臭いし、踏んづけると滑って危ないじゃないか...。」
「街路樹の落ち葉が、お店や庭に入ってくるから清掃代を払え...。」
なぁ〜んて、身勝手なことを言い出す人が最近増えているんです。
 そもそも自分の土地の前に道路があるから生活ができるし、お店だって
営業できるはず。昔は沿道の人が土地を出し合って道をつくってきた時代
だって、ほんの百年ぐらい前まであったのに、最近は道路は自分たちの物
ではなくて役場の物という感覚にすっかり変わっちゃったみたいです。
職場の近くに銀杏並木がありますが、最近の食生活が豊かになったのか、
ギンナン拾いをする人もあまりなく、特に東三事務所前のきれいな歩道も
ギンナンが踏みつけられて、だんだん汚れていくさまは無惨でもあります。

 もっとも朝の通勤時間に家の前の道路の落ち葉を掃いたり、雪国の場合
では、家の前の雪かきをしてくださる方々も大勢お見受けいたします。
ところがこうした奉仕活動をされている方の平均年齢はかなり高いように
感じます。たしかに忙しい毎日で自分の家の外まで掃除するというのは、
大変苦痛なことですが、彼らの場合はきっと、昔からそこに住み、町内会
という連帯的な街づくり意識があったり、習慣的なものがあり、若者ほど
社会活動に対する苦痛感がないのかも知れませんが、職務上の道路管理者
の一人としてありがたいことと思います。その反面、道路に吸い殻や空き
缶等を捨てる人たちもよく見かけます。若者だけとは思っていませんが、
たぶん清掃奉仕活動をしたことのない心ない人たちの仕業なのでしょうね。

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 最後に今回添付した写真についてコメントを添えておきます。
この桜並木は人の手で植えられて観光名所として管理されているものです。
春には桜のトンネルとなり、秋は紅葉の名所となり、滋賀県の道路管理者
の方も相当な配慮と努力をされていると思います。道路構造令からいうと
これだけ路肩が急な斜面になっているところだとガードレールを設置する
べきところなのですが、従来の基準と経済性だけの道路施設はともすると
景観を台無しにすることもあります。いつか頭の固い担当者が配属されて
ここにガードレールを設置すると言い出されないことを祈っております。
 街路樹にしても公園の樹木にしても、人が樹種を選定し、人の視点で
計画的配置されているし、肥料や剪定などの手入れも行き届いているため、
紅葉がきれいなところもたくさんあります。昔は山や森がすべて原生林
だったはずですが、最近はほとんどが杉や檜などの用材林で植林されると
いう「材木畑」の状態になっているため、自然のままの美しい原生林が
少なくなっているようです。
 今後だんだんと財政難で樹木の管理費が圧迫されていくかと思いますが、
なんとか街や観光地の植樹を大切に育てていってもらいたいものです。

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