━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆河童倶楽部通信 13  余暇の過ごし方について考える  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 今年の年末は、ミレニアムとかカウントダウンとか云って、街はいつに
なく賑わっているようです。今日12月23日は天皇誕生日。最近になって、
ようやくこの祝日も定着してきた感がありますが、ビジネスマンにとって
年末のラストスパートをかけるべき大切なこの時期に休日が増えたため、
明日あたり休暇をとって4連休にする人も多く、職場の雰囲気もやや停滞
しているように感じてしまうのは、私だけでしょうか。
 
 しかし、時代の流れとともに「人間らしい生活」についての考え方が、
少しずつ変わっているのも事実です。昭和の時代は「勤勉」こそが最大
美学だった。日本のビジネスマンは、会社のためにどれだけ自分の時間を
捧げることができるかで人間の評価がされてきた部分があったかと思う。
男は月曜日から土曜日まで朝から夜遅くまで働いて、一週間に一日だけの
休みは家で寝たきりのような生活をするというのが、標準的日本人の姿で
あったのでは...。やがて平成の時代になると、週休二日制が始まった。
「みどりの日」や5月4日の祝日等を増やしたり、年間の総労働時間を
1800時間に抑えようというスローガンが定着するなど、働き過ぎるの
やめましょう という思想がすっかり市民権を得てきていると思います。
 
 日本人が働かなくなるということは、社員の実質賃金は増加するわけで、
それを克服するためにOA化や外国人労働者を導入したり、海外に工場を
つくるなど合理化を推進しなければならない。そうなるとリストラも必要
となり、景気も悪くなってくる。それでも当面の間は、勤勉な日本人が
蓄えてきた日本の経済力や技術力があって、外国に対する優位性により、
それなりの繁栄が続いていた。しかし、最近アジア諸国などが力を蓄えて
日本の技術力に台頭してくるようになると、もう日本のこれからの時代、
少なくとも「物質的な豊かさ」が徐々に失われていくのではと思えます。
私は民間企業のリストラについて、公務員の世界にも導入すべき制度だと
考えています。リストラについてシビアな表現をするならば、少数精鋭の
組織を作るために、会社にとって必要の無い人や物を削除する行為だから、
必然的に労働者側でも、資格を取ろうとか、パソコンを習得しようなどと
いった努力をするようになる。そうした一人一人の向上心の集積が、会社
組織や日本経済にプラスとなって作用するからだ。それに反してリストラ
が存在せず、仕事の実績が評価されにくいといった、お役所の組織では、
ともすると国民への奉仕者という献身的な姿勢で仕事に取り組む意識が
薄れていき、組織の生産性やサービスの低下に向かっていくのではという
不安があります。
 
 さて、働く時間を減らすことで日本人が手に入れることのできるもの、
それは「余暇の充実」です。ともすると人間は安易な方向へ流されがち
ですから「寝たきりの休日」とか「テレビの視聴時間」を増やしている人
多いように思われますが、それではあまりにももったいないと思います。
 一年365日の内に、土日が7分の2と、祝祭日や正月休みが約20日。
それに有給休暇等を加えると130〜140日ぐらいは仕事に解放された
自分の時間があります。人それぞれ家庭の環境とかがあって、全部が自分
の時間とは言えないかも知れませんが、それでも相当な時間が、自分の
意志と家族の協力等によって、自由に使えるはずなのです。近い将来に、
日本人が「物質的豊かさ」を失ったとしても「心の豊かさ」を見つけて
おけば、それはそれなりに人間らしい充実した生活を実感できる筈です。
しかし、心の豊かさは、物質的豊かさと違ってお金で買えないだけに、
個人がそれぞれに、心の能力を高めながら、熱中できるものを持ったり、
あるいは人間交流を広げていくしかないと考えております。
 
┏■夢灯す光の彫刻 KOBE ルミナリエ  ━━━━━━━━━━━┓
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 12月20日は、予定通り休暇をいただいて神戸へ出掛けてきました。
11月下旬に「都市景観セミナー」に参加して、『景観照明』の講演を聴講
して以来、昼間の都市景観だけでなく、夜の都市景観の魅力を知りました。
 
 冬至の前後の12月は、夜が最も長い季節。夏の間は夜の7時を過ぎて
明るかったのに、この季節は5時になると真っ暗になります。だから、
この季節になると、街のあちこちにイルミネーションが点灯したり、建物
や街路樹などがライトアップが、盛んになります。中には聖夜クリスマス
にも関連してか、個人の庭の樹木にも豆電球で演出する家もあるようです。
冬の夜は、体はとても寒いけれど、こうした演出を目にするとなんだか心
が暖かくなります。昼間は上から光があたっている対象物が、下から上に
演色性のある照明を施したり、対象物自体が光り輝くのを見ると、未知の
に出会ったような新鮮な印象を感じるものです。


 「神戸ルミナリエ」は、大変素晴らしかったです。阪神大震災で壊滅的
な打撃を受けた1995年から始まった新しいイベントで、今年が第5回
めになります。12月13日〜26日の2週間の期間中に、600万人近い観客が
ここを歩いて、人それぞれ深い感激を覚えるのではないでしょうか。
 
 上の写真は、三宮駅南の旧外国人居留地の街路に作られた光のアーケード
です。この下を観客がぎっしりと埋まり、一方通行でよちよち歩きの状態で
約一時間かけてくぐり抜けるのですが、神秘的な音楽も響いていて、ただ
ただ美しく、感激で心が洗われるような時間の流れを感じました。写真手
前にそびえ立つゲートは光の玄関装飾という意味の「フロントーネ」で、
高さ21mあって、ここからの景観がルミナリエ最大の見どころです。
フロントーネの向こう側には同じ形の平面アーチが幾重にも重なって立て
られていますが、アーチの間隔を巧みに調整する遠近法を取り入れることで、
この回廊が永遠に続くような幻想的な気分になります。
 
 下の写真は、ガレリアをくぐり抜けたところの東遊園地広場にある巨大
なスパッリエーラの一部分です。これらの光を近くで見ると、着色された
直径3センチ程度の電球が無数に取りつけられていました。資料によれば、
イタリアのナポリから持ってきた20万個の電球に、神戸の人の手作業で、
赤や黄色や緑や青などの色に染められているとのことです。
 残念なことに、これほど素晴らしいイベントが、ひょっとしたら来年は
スポンサーの資金不足などで開催が危ぶまれているということです。私も
ぜひ今後も多くの人がこの地を歩き感動を味わって欲しいとの願いから、
財布にあった小銭すべてを募金箱に投じてきました。
感動をありがとう。ガンバレ神戸。がんばれルミナリエ・・・。
 ルミナリエの、公式ホームページがありますので参考にしてください。
http://www.luminarie.com
inserted by FC2 system