食い込む△型の部分を切妻ということが分かった。ところがオランダ建
築の写真を見て気付くと思うが、屋根と壁との関係が、日本建築と逆に
なっている。つまり日本建築は壁(妻)の上側に屋根が乗り、庇(ひさし)
が壁面より張り出しているのが一般的である。それに対してオランダの
建物は、壁が天まで突き抜けて、その裏側に屋根がくっついているのだ。
まるで学芸会の舞台セットのような印象を受けるのもこのせいだろうか。
日本の木造住宅の外観は屋根に趣向を凝らすのに対し、オランダでは
通りから屋根が見えないので、壁や窓にいろんな装飾が加えられている。
外壁材料(色彩)はレンガを基調として、窓枠やエッジの部分に白を使う
ことによって、明暗がクッキリしていて、引き締まった印象を受ける。
きっとオランダの人は、家を造る時に、景観をとても大切に考えている
のだろう。
┏■オランダ都市の人口集中について ━━━━━━━━━━━━━━┓
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日本の建築基準法では、建ぺい率という規制があって、例えば土地の
面積に対して建物を60%以内にしましょうなどといったルールがある。
これは、木造家屋が中心で火事が多い国だから、防災的な目的によるも
のだと考えられる。それに対してオランダの建物を見ると、庇がなくて、
前も横も敷地いっぱいに建物が建っていて、建ぺい率が限りなく100%に
近いような印象を受ける。防災的には建物が燃えにくい石でできている
し、町じゅうには運河があり、水も豊富で延焼の危険がなさそうだから、
いいのかもしれないが、どうしてこんなに窮屈な生活をしているのだろ
うかと、いろいろと想像してみた。
■□■日本とオランダの比較■□■
(日 本) (オランダ)
人 口: 125百万人 15百万人
面 積: 378千km2 41千km2
人口密度: 335人/km2 377人/km2
上の数字を見る限りでは、オランダが思ったより小さな国であること
がわかるものの、東京都と同じぐらいの人が九州ぐらいの面積の土地に
住んでいるのだから、それほど窮屈な印象を受けない。最大の特徴は、
日本は山ばかりで平野が少ない国だが、オランダは国土のほとんどが、
海抜50m以下の土地であり、しかも半分は海面下にあるということだ。
だから治水の面で、人が住むのに適した土地が少ないのかもしれない。
■オランダの主な都市と人口(1994現在)は、次の通り。
◇アムステルダム(人口72万4096人):首都、
◇ロッテルダム(59万8521人):世界有数の港湾都市、
◇ハーグ(44万5279人):政治の中心地、
◇ユトレヒト(23万4106人):産業の中心地
日本には、人口100万人を超える都市が、東京、横浜、大阪、名古屋、
札幌、神戸、京都、福岡、川崎、広島、北九州と11もあることを思えば、
オランダの都市は、日本の地方都市並でやや小さいといった印象である。
きっとオランダの都市は、治水等の防災面の安全確保や、水道や下水、
電気・ガスなどのライフライン確保にコストが掛かるだろうから、面積
を広げられない事情があるのではないだろうか? それゆえに都市内の
地価や課税が高く、このように人口密度の高い建物ばかりになったのか
と思われる。アムステルダムの人口密度は東京並以上かもしれないけど、
なんとなく生活環境としては、ずっと恵まれているような気がします。