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◆河童倶楽部通信 2
2 通勤時間の活用と読書習慣について   
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 梅の花がほころび、真冬の寒さの中にも、日一日と春の足音が近づいて
くるのが感じられる季節になりました。筆者の職場では4月の人事異動の
発表がひと月先にあるため、結果はどうあれ、そろそろ引継の準備など、
業務の仕切りを考えた仕事の整理に取り掛かっております。
 
 今の職場は、職務内容については都市景観に関係深いことに従事できて
いるので何一つ申し分ない環境なのですが「通勤時間が長いこと」それが
最大の苦痛でありました。人は誰もが平等に1日に24時間を持っているのに
睡眠時間と勤務時間で17時間が消えてしまうので、自由時間として残る
のは、たった7時間。しかも筆者の場合、片道3〜4本も電車を乗継いで
往復3時間以上も通勤時間がかかるとなると、残り4時間。これに食事や
入浴時間、あるいは家事雑用にも時間をとられるし、残業だってあるから、
平日に自分の自由時間を持つどころか、睡眠時間までも削りながら根性で
月曜日から金曜日までをつなげている状態です。
 
 もしも、通勤時間ゼロ&残業ゼロといった毎日だったらどうだろうか?
プロ野球中継を最初から最後まで見てお酒を飲んで息抜きをしている人。
(こういう人は、職場でも一日中、息抜きばかりされいる人に多いように、
お見受けしますが...) そーいうんじゃなくて、やる気がある人の場合、
帰宅途中で『駅前留学』に通ったり、スポーツクラブとか文化サークルに
参加したり、"家庭と職場との単純往復運動だけの日常"からもう一歩飛び
出して、仕事とは違うもう一つの自分を創造されている方々が、日本でも
少しずつ増えているのではないでしょうか。
 
 願わくば『職住近接』で『残業なし』ができれば、それに越したことは
ない。引っ越しが可能な人は、通勤に便利なところに住むことも選択肢に
なるだろうし、仕事の内容や手段を工夫して、残業時間を減らすよう努力
すべきであろう。そしてもう一つの選択肢は、多くの人にとって"苦痛"で
あるはずの通勤時間を"快楽"な時間に変えてしまうという工夫と努力だ。
 まず通勤時間と経路について、最短で便利なものが"苦痛が少ない"とは
限らない。自家用車を電車に代えれば、車内で本が読めるし、駅まで歩く
とで多少でも健康づくりができる。電車の混雑も、出勤時間を早めたり、
快速よりも鈍行を使った方が、時間はかかっても確実に座れることもある。
 
 電車内や病院の待合室などで本を読むという習慣は、地域によってかな
りの差があるらしい。日本各地を視察して見た通勤列車の雰囲気として、
北九州地方(博多〜小倉周辺)の人は、列車も同じように混んでたけれど
とにかく多くの人が本を開いていた。関東や関西でもそれなりに多くの人
本とか新聞とかを読んでいた。それを思うと、筆者の周囲(愛知県)では、
読書習慣(意欲)に関する限り、教養水準が低いように感じられる。
 
 読書には"慣れること"が必要だ。どんな雰囲気にあっても、読みたいと
いう意欲集中力がなくてはならない。筆者も最初の頃は一週間に1冊し
か読めないこともあった。読書に慣れない人には、シドニー・シェルダン
などの読み進むにつれて、いつの間にかストーリーにのめり込まれていく
小説を薦めしたい。本を読むスピードは、「感情移入度」に比例する。
とにかく最初の50頁を頑張って読んでみて、それでも感情移入がない小説
捨ててもよいだろう。読み始めると止まらないことを「はまる」という。
まずは、そうした面白い本にはまって、何冊もこなしていくと、いつしか
自分の興味のある分野が形成されていく。筆者は今のところ池波正太郎氏
の時代小説にはまっており、最近では1時間で100頁。毎週3冊のペースで
読めるようになってきた。
 
 最近、筆者が不安に思っていることがある。
「今度の人事異動で、通勤時間が短い場所に転勤になったらどうしよう。
 そうなったら、本を読む楽しみな時間が無くなってしまうではないか。」
という苦痛である。(T_T)
 
 
  
 
┏■オランダの田園風景のランドマーク『風車』 ━━━━━━━━━┓
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 オランダの風景として、都市の景観が「切妻の高層建築」と「運河」を
挙げるなら、郊外の田園風景は「風車」と「チューリップ」で代表される。
 
 オランダでは、かつて1万基程の風車があり、水利用、干拓地の排水、
製粉などに使われていた。そして現在も1,000基程の風車が残っており、
その3分の1が稼働しているとのこと。水を汲み上げたり、粉を挽いたり
する目的は、日本の水車と似たものがある。かつて電気が無かった頃、
人々は農業に自然のエネルギーを利用することを考えた。風車の回転に
よって水を汲み上げる仕組みも公開されていたが、風力がうまい具合に
揚水装置に伝達されていて、機械の仕組みを考案した人の知恵には感心
させられた。こうした工夫の結集が、今日の電気という便利なものを生
み出す発電機の発明へとつながっていったのだろうと思われる。
 
 それにしても、水をくみ出すために、こんなにも巨大で、民家よりも
はるかに大きな風車をいくつも作らなければならないほど、オランダは
土地が低くて排水に苦労していた状況が想像できる。今でこそ電気で動
くポンプがあるから、風車は観光シンボルや文化財的価値に移行してい
るようだが、これだけ大きい物は、そこに存在するだけでも、景観的に
スマートな美しさが感じられる。上の写真は最もオランダらしい風車の
タイプで『グランドセイラー型』と呼ばれるもの。その容姿が修道僧に
似ていることから“修道僧風車”と呼ばれるほど愛着あるデザインだ。
 
 どらえもんの「どこでもドア」を開け、目の前に一面のチューリップ
畑と修道僧風車が点在する広大は風景が広がっていたら、そこは紛れも
なくオランダなのだ。これに対して日本には、パッと見ただけで日本を
感じる風景ってあるだろうか? 景観に対するベースと奥行きの深さが、
日本とオランダとでは相当に違うことを意識せずにはいられない。
 
 下の写真は、滋賀県の琵琶湖西岸にある「新旭風車村」という風車を
メインとした公園のものです。こちらの風車は一風変わったデザインで、
高さ18mの塔に、直径15mの6枚の羽根が回転していました。風車は、
"風"という自然を感じるシンボルとして、最近の日本各地の公園でも、
姿を見せるようになってきました。
 
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