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◆河童倶楽部通信 26 河童係長の誕生、そして・・・
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 先回の投稿より、随分とブランクができてしまいました。
新年度より半田支店へ転勤となり、電車通勤から初めてのマイカー通勤に。
仕事の内容も一変し、一担当者から係長へ昇格したことなど、私にとって
12年前に学生生活を終えて社会人になった時以来の、急激な生活環境の
受けたような手応えがあり、元の職場での締めくくりと、新しい職場へに
一刻も早く適応するために、がむしゃらになって走り始めているうちに、
いつの間にか5月になり、この連休でやっと一息つけたような気がします。

 私の職場では、名刺はすべて実費制作なので、パソコンで作成した事は
いうまでもありませんが、今回から電子メールとホームページアドレスを
掲載しました。役職者ともなれば、いろんな人との出会いが極端に増える
もので、既に150枚ほどの名刺を受け取っていただきました。役所関係
の方や、地元住民の方、工事や設計業者の方や材料メーカーの方などで、
「河童倶楽部通信」をご覧いただいた方もみえるのではないでしょうか。
 いろんな面で私自身の立場が変わってきたため、自ずと記載内容も見直
さなければなりませんが、週末のひとときにマイペースで書き続けて行き
ますので、変わらぬご愛読とご支援を下さるよう、よろしくお願いします。


┏■色彩と景観との調和について考える ━━━━━━━━━━━━━┓
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 始めに、下の写真をじっくりとご覧ください。岐阜県の郡上八幡の街で
見かけた普通の酒屋さんの店先なのですが、城下町の古い街並みとの調和
を図るため、
景観に対するきめ細かな配慮が徹底されており、お手本だと
感じる部分がたくさん見られます。



(1)郡上地方の典型的な格子窓のある2階建て町屋造りの商家で、棟の向きは
 道路に平行な平入建築(ちなみに道路と直角のものを妻入建築と言う)の趣を
 基調とした演出が施されている。

(2)庇の中央に掲げた看板は、兵庫県伊丹市の灘の銘酒「白雪」の特約店である
 ことを示すもので、地酒『蔵の風』よりも目立った存在となっている。しかし江戸
 時代からの老舗としての風格を醸し出すために一役買っている。

(3)郡上八幡は、名水百選の「宗祇水」で有名なところであり、豊かで清らかな水が
 街のイメージとして定着している。そこで店先にも井戸水を流しっぱなしにして、
 自由に腰掛けて水が飲めるようにすることで、集客効果を引き出している。

(4)軒先に垂れ下がる"のれん"と旗が風に揺れ、足下の鉢植えが、心地よい自然
 を演出している。

(5)エアコンの室外機を看板の裏に隠したり、こげ茶色に塗ることで、時代錯誤の
 違和感を打ち消している。また、本来はひときわ目立つはずの自動販売機も、
 地味で壁と同色の仕様を用いている。



”蔵の街”栃木市の自動販売機
 ひと昔前の自動販売機は、コカコーラの赤など、ひときわ目立つ彩色が用いられていたと思う。ところが最近になって、郡上八幡の例に見るように、メーカー側から景観に配慮した地味な色彩のもの街角に送り出されるようになってきた。

 そうかと思えば、左の写真のように、自販機自体が主人公となり堂々とした表情を持つ製品も作られている。 前者が道端につつましく咲くレンゲの花なら、後者は夏のサンサンとした日差しを受けてたくましく育つヒマワリといった印象であろうか。それ自体が人の目を惹きつけているので、営業成績の上では優等生といったところか。

 自販機は今や街の必需品として定着している以上、どちらかの方法検討しながら設置していくことはやむを得ない事と思う。問題はメーカーや管理者が、置く場所を選び、それぞれ周囲の景観や環境を配慮して設置していくという協調性ある姿勢ではないだろうか。

 江戸時代は、鉄やコンクリートもなく、全てが土と木でできていた。
ペンキのように、水をはじいて色褪せしない塗料もなかった時代だから、
全てがの色をしており、最も目立つ色が看板等で用いられる金色
だったのではなかっただろうか。
 ところが昭和の頃から、身の回りにありとあらゆる色彩が氾濫してきた。
人はカラフルで色鮮やかな衣服を着るようになり、道には色鮮やかな車が
走り回る。テレビも雑誌もパソコンも、白黒からカラーに変わり、色彩が
存在感をアピールする道具になっているように感じられる。

 人間や自動車や電車など、動きのあるものがその場所での主人公であり、
目立つべき存在だから、周囲より明るい色彩を使っても違和感はないはず。
ところが、街中の看板とか自販機や、ともすれば建物や舗装の色までもが、
やみくもに派手な明彩色でひと目を惹くことを競い合っているようである。
特に赤色と黄色は人の視覚に強烈なインパクトを与える禁断の彩色ではな
いだろうか。コカコーラの自販機やマクドナルドの看板など、印象に残る
ものには、明るい赤色と黄色が多用されているように思われる。

 市街地の道路沿いに立てられる看板には、もともと周りが煩雑としてい
て景観との調和を考える必要がない場所かもしれない。ところが街並み保
存の景観地区とか、日本でも城下町などの景観地区や大きなビルなどでは、
建築協定などで色彩についてもルールが作られているところも増えている。

 下の写真は、OAP(大阪アメニティパーク)という超高層ビルの街に
あるマクドナルドの正面入口です。このシンボルマーク以外には、お馴染
みの赤い看板が見当たらず、そのことが景観が統一されたグレードが高い
レストラン街によく馴染んでいるように感じました。

 海外旅行の経験が豊富なSさんにこの写真を見せたところ、
「ローマのマックはまだまだ地味で、ホントよく見ないと見落とすくらい
 街に同化してます。「M」も茶色なら周囲も茶色で、の平面に「M」が浮き
 上がっていて、とにかく地味だった・・・。
  また、アメリカのW・ディズニーワールドでは、夢を与える場所だから、
 赤色は環境にそぐわないカラーとして使われていない。
消防車や消化器
 も全てシルバーカラーが使われています・・・。」
といった、コメントを頂きました。日本もようやく景観を配慮した色彩に
について、考えるようになったようです。今後の日本の都市が、もっと美
しくなることを願ってやみません。



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