【石造りのアーチ式水路橋『通潤橋』】 


熊本県上益城郡矢部町に、筆者が最も憧れていた石造アーチ式水路橋“通潤橋”がある。
 1854年に石工 宇市丈八・勘平によって完成したこの橋は、江戸時代後期の日本の土木技術の最高傑作として
国の重要文化財に指定されている。

▲地元の惣庄屋「布田保之助」の像
 写真右の台地から左の台地へ水路を引こうと企画した

▲橋の上に3列の通水管が埋設されている。
 高欄が無いため、橋の端を歩かない方がよい。

放水は、導水管の中に溜まった土砂を洗い流すための仕組みであるが、日曜日の正午に観光用の定時放水がある。

水の噴き出し口


【橋の構造】 全長79.6m、橋幅6.65m、橋高21.4m、アーチ幅26.5m

▲水路の構造は「サイフォン」方式が採用されている。上流と下流にため池をつくり、1.7mの
水位差によって生じる水圧を利用して6mの高低差を持ち上げる構造となっている。管の
低い部分に土砂が溜まりやすいため、土砂を取り除くために放水を行う仕組みが設けられている。

▲上流側の台地は、水で潤っており、すぐ近くには滝がある。この水を通潤橋を通して隣の
白糸台地を潤し、今なお100ヘクタールの水田に命の水を送り続けている。
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